ヘルニアってどんな病気?ヘルニアとは、臓器の一部が、元々あるべき場所からずれている状態を言います。一般的にヘルニアと聞くと、椎間板ヘルニアを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし実際には、ヘルニアは様々な種類があります。腹部だけのヘルニアだけでも、大腿ヘルニア、鼠径ヘルニアなどがあり、脳ヘルニア、なんていう種類のヘルニアもあります。本来あるべき場所に臓器が無い、ということは、それなりの苦痛を伴います。それがヘルニアという病気です。 鼠径ヘルニア 下腹部のやや外側、脚の付け根部分を鼠径(そけい)と呼びます。その鼠径部にあるトンネル(鼠径管)を通ってお腹の中の臓器(小腸や大網と呼ばれる脂肪の膜など)が突き出てくる病気を鼠径ヘルニアと言います。 症 状 立ったり、お腹に力を入れると、お腹の中の臓器が袋の方に突き出てきて鼠径部が膨らみます。軟らかい腫瘤として確認できます。最初の頃は膨らみは小さく、また表面から押せば簡単に戻りますが、次第に大きくなったり、押してもなかなか引っ込まなくなったり、痛みを伴うようになりします。膨らみ(ヘルニア)が押しても全く戻らなくなり、強い痛みを感じる状態を嵌頓(カントン)といいます。ヘルニア嚢の中に脱出している臓器が出口で締めつけられて、腸閉塞を起こします。約6~8時間この状態が続くと、循環傷害を起こし、脱出した臓器は腐ってしまいます。(壊死と言います。)こうなると、壊死した臓器を摘出しなくてはいけなくなります。 診 断普通は鼠径部が膨らんでくることから簡単に診断はつきます。また場合によっては、エコ-やCTなどでお腹の中の臓器の脱出を確認します。鼠径部の膨らみが分かりにくい場合も多くみられますので、原因の解らない鼠径部痛、下腹部痛などで悩んでいる方も是非ともご相談ください。治 療 手術はここ5~6年で大きく変化しました。より負担が小さく、より短い期間で行なわれるようになり、また再発率が2%以下になるなど成績はぐんと向上しました。これは身体に影響のない合成樹脂の補強材(メッシュ)を使ったシステムが開発されたなどによるものです。当院では、麻酔は歯医者さんの抜歯の時に使う局所麻酔で手術可能です。 大腿ヘルニア 大腿ヘルニアは鼡径ヘルニアとよく似ていますが、医学的には全く違います。大腿ヘルニアの発生率は全ヘルニアの5%を占めます。大腿ヘルニアは鼡径ヘルニアと違い84%は女性に起こります。 症 状 大腿ヘルニアは、鼠径部のやや下方、大腿部にかかる部に腫瘤が触れます。中年以後の経産婦に多く、これは鼠径靭帯の後ろの大腿管が女性の場合広く、分娩で抵抗が弱くなるためと考えられています。 治 療治療は鼠径ヘルニア同様、外科的手術です。鼠径ヘルニアと同様、補強材(メッシュ)をやや深部に貼り付け、大腿の飛び出し口(大腿輪と言います)を塞ぎます。 |