おしりとおなかのクリニック ふるかわ北安東クリニック

ヘルニアってどんな病気?

ヘルニアとは、臓器の一部が、元々あるべき場所からずれている状態を言います。一般的にヘルニアと聞くと、椎間板ヘルニアを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし実際には、ヘルニアは様々な種類があります。腹部だけのヘルニアだけでも、大腿ヘルニア鼠径ヘルニアなどがあり、脳ヘルニア、なんていう種類のヘルニアもあります。本来あるべき場所に臓器が無い、ということは、それなりの苦痛を伴います。それがヘルニアという病気です。

鼠径ヘルニア

鼠径ヘルニア 下腹部のやや外側、脚の付け根部分を鼠径(そけい)と呼びます。その鼠径部にあるトンネル(鼠径管)を通ってお腹の中の臓器(小腸や大網と呼ばれる脂肪の膜など)が突き出てくる病気を鼠径ヘルニアと言います。
  この病気は乳幼児期と50ー60才代男性に多く見られます。大人のヘルニアでも子供の頃あったものが再び出てきたという例も多くみられます。膨らんでくる部分には腹膜に続いた袋(ヘルニア嚢と呼ばれます)があり、その袋の中に臓器が出入りしています。

症 状

 立ったり、お腹に力を入れると、お腹の中の臓器が袋の方に突き出てきて鼠径部が膨らみます。軟らかい腫瘤として確認できます。最初の頃は膨らみは小さく、また表面から押せば簡単に戻りますが、次第に大きくなったり、押してもなかなか引っ込まなくなったり、痛みを伴うようになりします。膨らみ(ヘルニア)が押しても全く戻らなくなり、強い痛みを感じる状態を嵌頓(カントン)といいます。ヘルニア嚢の中に脱出している臓器が出口で締めつけられて、腸閉塞を起こします。約6~8時間この状態が続くと、循環傷害を起こし、脱出した臓器は腐ってしまいます。(壊死と言います。)こうなると、壊死した臓器を摘出しなくてはいけなくなります。
 嵌頓はヘルニアの大きさとは必ずしも比例せずむしろ小さめのヘルニアに起こりがちです。

診 断

 普通は鼠径部が膨らんでくることから簡単に診断はつきます。また場合によっては、エコ-やCTなどでお腹の中の臓器の脱出を確認します。鼠径部の膨らみが分かりにくい場合も多くみられますので、原因の解らない鼠径部痛、下腹部痛などで悩んでいる方も是非ともご相談ください。

治 療

 手術はここ5~6年で大きく変化しました。より負担が小さく、より短い期間で行なわれるようになり、また再発率が2%以下になるなど成績はぐんと向上しました。これは身体に影響のない合成樹脂の補強材(メッシュ)を使ったシステムが開発されたなどによるものです。当院では、麻酔は歯医者さんの抜歯の時に使う局所麻酔で手術可能です。
 手術の不安のある方や希望される場合は眠って手術を受けることも可能です。手術終了時から歩くことも可能です。入院期間は2~3日で日帰り手術も充分可能です。日常生活や仕事への復帰には一週間から10日間は見込まれていたほうが良いでしょう。退院後、多くの方は1~2回の通院で終了します。
 多くの患者さんは、こんなに楽だったらもっと早く手術を受けたのにと言われます。

大腿ヘルニア

大腿ヘルニア 大腿ヘルニアは鼡径ヘルニアとよく似ていますが、医学的には全く違います。大腿ヘルニアの発生率は全ヘルニアの5%を占めます。大腿ヘルニアは鼡径ヘルニアと違い84%は女性に起こります。
 症状は鼡径部の腫瘤や腸閉塞です。高齢の女性で腸閉塞を認めたとき、原因の1つに考えなければいけない疾患です。

症 状

 大腿ヘルニアは、鼠径部のやや下方、大腿部にかかる部に腫瘤が触れます。中年以後の経産婦に多く、これは鼠径靭帯の後ろの大腿管が女性の場合広く、分娩で抵抗が弱くなるためと考えられています。
 自覚症状は少ないのですが、ヘルニア嵌頓になりやすい特徴があるので、注意を要します。ヘルニア嵌頓は、脱出した腸管や臓器が腹腔内に戻らず循環障害を起こした状態です。腫瘤が戻らなくなったら、腹圧がかからないようにし、できるだけ早く専門医を受診する必要があります。大腿ヘルニアは、とくに嵌頓しやすく腸管の壊死を起こしやすいので、注意を要します。

治 療

 治療は鼠径ヘルニア同様、外科的手術です。鼠径ヘルニアと同様、補強材(メッシュ)をやや深部に貼り付け、大腿の飛び出し口(大腿輪と言います)を塞ぎます。

ふるかわ北安東クリニック 【ふるかわ北安東クリニック】  
〒420-0881
静岡県静岡市葵区北安東4丁目5-32 TEL:054-248-3999
QR ケータイでのお問い合わせは
こちらからどうぞ